なんの足しにもならない

140文字じゃ収まりきらない

目覚めよ、女性性②


こんにちは、峠野です。


続きはまた今度書きます☆とか言いつつ、どうでもいい尿検査の話を書くわ、挙げ句の果てに超自己満ライブレポを書くわ…で書きます詐欺をしてきましたけど、ようやく有言実行します。


というわけで、レッツガールズバー体験入店、いよいよ本編開始です!!!


…の前に、前回のあらすじを簡単に。

女としての武器など、「戸籍上の性別が女性である」くらいしか持ち合わせていない、レベル0(むしろマイナス)スタートの女、峠野。

そんな彼女はゼミのレポートに、「女性として一番幸せなのはキャバ嬢、風俗嬢である」と書いたものの、自分が彼女たちについて語る資格そして力など、到底ないことに気がつく。

そこで峠野は、彼女たちに少しでも近づくために、女としての経験値を稼ぐために、ガールズバーで働くことを決意するのである…!(詳しくは前回の「目覚めよ、女性性」を読もう!※宣伝)



はい、というわけでね、とある後輩ちゃんがこんな私を見かねて、ガールズバーを紹介してくれました。


「ここなら初めて働くのも安心ですよ!」

「安心」…なんてチキンに、丸腰勇者に優しい言葉なんだろう。

私はそれを信じて、体験入店させてもらうことに。


20:00-24:00という、私のもう1つのアルバイトとそう変わらない、何たる健全な時間!に、シフトを組んでいただくことができました。


いつもより丁寧にメイクをし、いつもより可愛い服を着て、まるでデートに行くかのように気合を入れます。別にワクワクしてそうしていたわけでなく、そうせざるを得なかったんですよ。


いいですか、女を強くするのは化粧と服です。この2つで(見せかけの)レベルを上げることは可能です。

強そうなギャルを思い浮かべてください。彼女たちは、金髪にカラコンにたくさんのピアスに、オラオラしたホットパンツ、サングラスもつけて、一部はギラギラしたなんかよくわからんものをジャラジャラつけてるでしょ。もう正直金髪、ピアス、サングラスという三種の神器を揃えた女はそれだけでオーラがすごいじゃん。隣を歩いただけで「うぜえ」とか言われそうじゃん。その人が実は「アッその、えっと、ドゥフフフ」みたいなコミュ障だとは想像もつかないでしょ。


ね、一応見せかけだけのレベル上げは可能なんですよ。

戸籍上の性別が女性である、という、そこらへんで拾った木の棒のような武器を持っているだけじゃ、殺されるのは目に見えてる。だから必死で、家の包丁なりまな板なり、武器になりそうなものは全て身につけてから、いざ冒険に出かける。それが賢い、レベル0の勇者の戦い方。

というわけで、私なりに最高の努力をして、見せかけの女レベルを上げていきました。




お店に入ると、いわゆる「ママ」のような存在のお姉様が待ち構えていました。別にママと呼ばれているわけではありませんが、ここではママとさせていただきます。

ママ「おはよう」

峠野「こんばん…おはようございます!」


出だしからもうへっぽこ勇者節炸裂。おはようにはおはようだろ。

ママはそんな私に突っ込むこともせず、クールにそこに座っていいよ、と本来お客さんが座るカウンターに着席を促します。


峠野「失礼いたします!」


やめろやめろへっぽこ勇者、いくら御社の☆プリンスさまっ♪をプレイ中の身だからといっても、これは面接でもなんでもないんだぞ!


ママはお店のルール(休む場合、シフトのことなどとても一般的なもの)が書かれた紙と、名前、住所などいわゆる個人情報を記入する紙を差し出してきたので、一通り読んだ後、大人しく書きました。これで逃げられないぞ、私は勇者としての契約を交わしたのだ……とか思っていると、ママが私に尋ねます。


ママ「源氏名はどうする?」


峠野「源氏名ですか?えーっと、本当にこういうお店で働くのが初めてなので、よく分かんないんですけど、みんな使ってるんでしょうか…?」


ママ「どっちでもいいけど、ここの子たちはほとんどが本名だよ」


峠野「あっじゃあ本名で(即決)」



オイコラ〜〜〜〜!!!馬鹿か〜〜〜〜!!!!


…と言うのも、私のレポートでは、

源氏名を使うから自分ではない誰かになれて演じることで幸せ云々」

という論をかざしたんですね。

ここでそれを体験せずどこでするのかって感じなのに、自分のネーミングセンスがないことと、「なんでその名前?」と聞かれたらどうしようという恥ずかしさと不安に簡単に負けまして。いや、さすが見せかけだけのレベル上げをした女ですよね。ワハハ。


結局プリセットの名前のまま冒険を進めることになった勇者は、次なるステップに進みます。


今日一緒に働く人たち数名の紹介をしてもらいました。なるほど、これはパーティーを組んで進めていく冒険なのか。ソロプレイじゃないわけだ。へっぽこ勇者にとっては心強い。


……にしても可愛い。当たり前っちゃ当たり前なんだろうけど、いや普通に可愛い。綺麗。なんだか恥ずかしくなって来たぞ。いや、でも私だって見せかけのレベルだけは上げてきたのよ、負けないで峠野!


他にもグラスの位置などを教えてもらったりしているうちに、いよいよお店が開店する時間になった。


だがしかし、全然お客さんが来ない。


オイオイ、こちとら準備万端やねんぞ、あとは経験値を上げるのみなんだ、そうすれば私だって、立派な勇者になって、あの論文を語る価値も、女としてのレベルも上がるはずなんだ!!!さあ来いよ!!!!


心でファイティングポーズをとってても、全然扉が開かない。店内にあるテレビをポケーーっと見てるだけで1時間経ってしまった。

いいの!?こんなんで時給発生していいの!?スカッとジャパン観てるだけでお金もらえるの!!???そりゃスカッとするわ!!!!!


と、若干そわそわしていると、ママからビラ配りをするように言われた。もう1人、今日紹介された中で一番可愛いと思ったマリアさん(仮名)(ネーミングセンスがないことを実証していくスタイル)と一緒に、外に出る。


よく見る奴だ。

繁華街なんかを夜歩いていると、「お願いしまーす」ってパンツ見えてまうぞってくらい短いスカート履いた女の子がティッシュなりチラシなりを渡してる、アレだ。

私はティッシュ配りのバイトなどもやったことがないので、初体験だった。

とはいえ、店の前でしかやらないらしいので、店の前を通る男性にのみ、お願いしまーすするだけ。


「どうせスルーされてまうんがオチやろ」

私は繁華街で渡されるチラシやティッシュは基本貰わないので、そんな卑屈なことを考えてました。

案の定、最初の方に通ったおっさん3人ほどはスルーしてきまして。

しかし、ただのスルーじゃなかった。「すみません」と謝ったり、頭を軽く下げながら通り過ぎていく人ばかり。

いや待て、偶然にもいい人ばかりやっただけかもしれんじゃないか。みんな華麗にスルーしてくるのがデフォなんじゃないか?



それから何人かが通ったけど、なんと貰う人も多くいた。しかも、ただもらうだけじゃなくて、会話もしてくる。酔ってるだけが原因じゃなかった。みんなニコニコ(ニヤニヤ)して話しかけてきた。

そして、1つここで書きたくないけど書いておきたいことがある。

ビラを貰ってくれた男性は、私からじゃなくて、全てもう1人の可愛いマリアさんから貰って行ったということ。私のビラは一枚も減らなかったのに、多分マリアさんは8枚くらい渡してた(30分くらいの間に)。オイオイこっちにも女はいるぜ?と思っていたけど、ムカつくほどにマリアさんから貰って行った。ソウデスヨネ!!!女が2人いたら、より可愛い女と喋りたいよね!!!

前言撤回、何がいい人だよ。みんな最低のクズ野郎だよ(八つ当たり)!!私は心の中で、そいつら全員を右手に握りしめていた包丁でぶっ刺した。経験値が10上がった。


この時、メチャクチャ生きるのが恥ずかしく思えてきた。ガールズバーで働いている、というフィルターがあるにも関わらず、全く女として見られていないことを自覚し、お前は価値がないと言われている気がしたから。


しかし、現在ポジティヴ期の峠野、こんなところで終わる女じゃありません。ネガティヴ期だったら、まだろくに進んでいない冒険の書もボロボロになるまで叩き破って、最後には燃やして何もなかったことにするでしょう。何が勇者だ、馬鹿馬鹿しいと、再び自室に引きこもっていたことでしょう。


ポジティヴ期の私は違います。

「テメーら全員ぶっ殺すまで、この冒険、やめやしねえ」

なんて物騒な勇者なんでしょうね。正義感ではなく、完全なる私情で魔王倒しに行きますからね。寧ろお前が黒幕だろって感じですからね。


とまあポジティヴ峠野は、決意を新たに固めました。

しばらくして、店内に呼び戻され、ビラ配りを交代させられます。


でもお客さんは皆無、私は一体何してたらええんや!!!BGMに合わせて踊ってればええんか!!!とか思っていると、とうとうやってきました。




お客さん第一号が。




……と、ここでまた続きにさせてもらいます。

無駄に長くしすぎて、疲れてきました。

無駄に溜めてホントすんません。