なんの足しにもならない

140文字じゃ収まりきらない

「実写版銀魂を観ました」たまにはシンプルなタイトルで。(ネタバレあり)

※最初に言っておくとかなりのネタバレ。

嫌な人は絶対に見ないでください。見た後に「テメー何ベラベラと勝手に喋ってんだ!!!」と怒りの気持ちを抱かれても、当方は一切の責任を持ちません。

 

 

 

こんばんは、峠野です。

 

 

本日の関東地方(というか私の居住地)は、体感温度が40度越えという鬼レベルな気候で、大変暑かったですね。

 

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そんな中、今日がバイトも予定もない水曜日ということに、ニュース番組を観ていて気づいた私。

水曜日といえば、レディースデー。

そうです。映画が通常(大学生なので)1500円のところ、女性ならば1100円で観られるという魔法の日。私のような貧乏学生にとってはありがたい日でしかありません。

 

というわけで、ずっと前から観よう!と思いながらも観ていなかった「映画 銀魂を観て参りました。

 

 

※もう一度言っておくとネタバレしかないと思う。見たくないなら今のうちにお家に帰ってください。

 

 

 

あ、あと、一応言っておくと、私は銀魂の単行本を集めているし、アニメも何周か観ています。所謂原作厨です。

まあ、うるせえ原作オタクだと思って読んでください。

 

 

 

 

はい、というわけで。早速感想を………

と思ったのですが、例によって例のごとく、話がお母さんの電話のごとく長いことで有名な私は今回も無駄なことまで話しますよ。

 

 

銀魂の実写化が決まった際、私はかなりショックでした。

実写化は誰も得しねえだろ的思想を持っている実写化反対教の信者なので、少女漫画の実写化すらまた山崎賢人かよ〜〜この世の彼氏は皆山崎賢人じゃねえかと溜息をついている毎日。

そんな時に小学生の頃から好きな銀魂が実写化するという情報が入る始末。

実写化反対教の信者、当然不満でした。

 

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当時のTwitterを見てみると、ショックを受けているのがよく分かりますね。

そうそう、当時は山田涼介沖田総悟をやるという噂もあったものですから、余計に苛立ちがあったんですね。オーヨシヨシ落ち着け〜〜

 

 

そしてビジュアル解禁。

正直見る前は全く期待していませんでした。

どうせ鼻で笑うレベルのコスプレ大会が開催されるようなもんだろうな、とか考えていました。

しかし、甘かった。

 

意外と完成度が高かった。特に吉沢亮沖田総悟は息を呑むレベルでクオリティが高かった。

というか真選組土方十四郎沖田総悟の2人は原作でも「顔がいい」とあらゆる場面で言われるルックスの持ち主で、(私のような)厄介なオタクを飼っているのもまた事実であるため、真選組のビジュアルはかなりのレベルでないと叩かれるのは必須だと考えていた。

だが、全員のビジュアルが揃って思ったこと、それは吉沢亮沖田総悟がかなりやばいということ。

 

 

 

 

 

 

落ち着け〜〜!!!

って感じですが、本当に初見はびっくりした。叩くどころか一番賞賛レベルだと思ったもん。

 

 

と、まあとにかくビジュアルを見て「これは本気だ…」と思ったのです。

だから、文句を言わず観に行くことに決めました。ギャーギャー言っといて、観てみたら案外よかった!ってことになって掌返すのも恥ずかしいなと思ったので。

 

 

 

そして公開。

本当は公開初日とは言わずとも、すぐ観に行くつもりだったのですが、結局約1ヶ月後になってしまいました。

 

 


 

観に行ってきた直後のツイートです。

あれ、コイツ叩く気満々じゃね?コイツ「やっぱり実写より原作が良いと思いました」とかほざくんじゃね?

 

 

 

 

正解!!!!

 

 正直それを一番に思ってしまいましたから。でも、ただ叩くだけでなく、どうしてそう思ったかについてどうしても話したくなりました。また、悪いところばかり話すのも、それただお前が好意的な気持ちを持ってなかったからじゃね?とか思われてしまう。今回の映画銀魂 、全てが悪いわけじゃなかった。良いところもたくさんあった。だから、両方とも話したいと思います。

だって悪いところばかり話すのって、喧嘩するカップルじゃん。

「私のLINE既読スルーするし、記念日も忘れるし、たまに言い方きついし、構ってくれないし…もういや!」いやもう別れろよってなるじゃん。お前のその鞄買ってくれたの彼氏だよ?お前のこと可愛いって言ってくれたのも彼氏。良いところもあるよちゃんと見て〜! ってなるからね。

 

 

ということでまずは良いところから。

①福田監督のセンスと原作の空気感のマッチング

ここはものすごく評価したい。銀魂って最近は終盤感満載でほぼシリアスしかないんですけど、大半はギャグ。

そのギャグパートの所々が本当に福田監督のセンスというか、福田監督ワールドとマッチングしてたところはとても面白かった。

個人的には、カブト狩りにて、近藤が万事屋に将軍のカブトムシについて詳細を言ってしまうシーン。あそこのやりとりは原作と福田ワールドがうまく合わさってんな〜と爆笑した。

また、武市変平太を演じる佐藤二朗と、平賀源外を演じるムロツヨシの登場シーンもこれ。

ヨシヒコなんかをみてると、この2人の存在に救われるシーンが何度かあるけど、今回もまた佐藤二朗ムロツヨシに頭が上がらなかった。良いキャスティングをしたなあ。

冒頭のオープニングムービーの安っぽさも、銀魂アニメ制作チームのおふざけ感と少し似てるものがあってよかった。

 

②キャスティング

まず、来島また子は今回の一番のMVP(個人的)。

菜々緒は、インタビューにてアニメに喋り方を似せた的なことを言っていた。

…本当に似てた。見た目は原作より少しクール目ではあるが、そんなの気にならない。ああ、本当に似せようとしてくれたんだな、うるせえ原作オタクにも配慮してくれた(?)んだなあと感動した。

アニメを見直すとわかるけど、滅茶苦茶意識してることがわかる。菜々緒様の魅力がまたまた増える…

佐藤二朗ムロツヨシを登用したのも大正解。

安田顕も大正解。

吉沢亮もビジュアル的に大正解。

中村勘九郎も正解。

橋本環奈ちゃんも可愛いから正解。

 

③原作・声優の良さを改めて実感できる

一周回って悪口じゃねえか、とか言わないでほしい。観てから言うのと、観ずに言うのとは全く違う。結婚について、ネットの情報だけで騒ぐ独身と、実際に結婚している既婚者の発言の重みの違いと同じ。

本当にこれは思ったんですよ。

あーやっぱりすごいんだなあ、って思うの。

坂田銀時はやっぱり杉田智和なんですよ。気だるく低く話すのが全てじゃないのが、杉田智和坂田銀時で。小栗旬は良かったけど、気だるい時の喋り方が何か物足りなかった。

あと新八ね。新八、実写が菅田将暉で嬉しそうだったけど、やっぱり新八は阪口大助じゃないと違和感あって。あの独特な突っ込みは阪口大助じゃないとダメなんだなと。

神楽もね、橋本環奈ちゃんは死ぬほど可愛くて、変顔しようと鼻ほじろうと滅茶苦茶可愛かった。神楽も何しても可愛い、そこは一緒なんだ。でも、あの「〜アル」口調と少しの訛りは難しいと思う。釘宮理恵はすごい。可愛い声でそれを実現するのだから。

万事屋の3人に特に感じたけど、真選組千葉進歩中井和哉鈴村健一、桂の石田彰、高杉の子安武人にも本当に足を向けて寝られないなあと思った。

原作と声を頭の中に印象付けてしまっているから、原作ファンが観るとやっぱり違和感を抱いてしまうのは仕方ないと思う。けど、それを少しでも埋めていた菜々緒はやっぱりすごい。

 

 

では、一番言いたかった点に移ります。

名付けて、「ここはどうなの映画銀魂!」

 

①キャラの研究が甘い

これはね、原作厨からしたら避けては通れぬ問題です。

演技だの、見た目だのに言いたいわけではありません。

私が言いたいのは内面的な問題です

まず、桂と銀時が2人でかぶき町を歩いてる場面ですが、桂が一人称で「私」と言うのですね。

いや、「俺」だろと、うるせえ原作厨の私は思ったわけです。神楽の一人称も「あたし」でしたが、正しくは「私(わたし)」です。

一人称って大事ですから。「俺」と「僕」と「オレ」と「ボク」、これだけでも4人の人物が生まれますから。同じ「I」でも4人です。

その大事なキャラづけである一人称をどうして変えてしまったのか?私は不思議でなりません。

また、土方が岡田に襲われるシーンで「嘘でしょ〜〜!!!??」と叫びますが、土方十四郎はそんなこと言いません。正しくは「嘘だろォォ!!??」です。

と、覚えてる範囲では主にこの2つですが、原作ファンに受け入れられるようにするためには、ここはしっかりとして欲しい点ですね。

オッ私、うるせえ評論家ぽくない?

 

 

②キャラの扱い

また原作厨が騒いでるよ〜〜的なレビューですが、大事なので言わせてもらいますよ。

新八、近藤さん、桂の3人の扱いがあんまりでは?

これは次の③にも繋がることなのですが、とにかくこの3人があまりにも惨めだと思ってしまった。

近藤さんに至っては、まあ原作でもぞんざいな扱いを受けやすいけれども、シリアスではここぞという時に男気を見せる人なのに、今回それが全部抜けてしまっている。原作を知らない人からしたら、「何でこの人が局長で、土方や沖田は慕ってるのか?」と思われてしまう。

確かに、原作でも普段は近藤さんのことは馬鹿にしがちな土方や沖田だけど、近藤さんの命がかかった時には真剣になる。原作はその切り替えがうまくできてるから、「ああ、この2人はなんだかんだ言って尊敬しているんだなあ」と読者は思う。

ところが、実写銀魂は近藤の全てをギャグに振ってしまっていて「あー分かってないなあ」と、上から目線の評価を下すしかなかった。

あの短時間で表現するのは難しいとは思えど、もう少しやりようがあったんじゃないかなって思ってしまう。

新八も同じような感じ。戦いにおいて、銀時や神楽、また真選組が桁違いに強いもんだからどうしても弱い存在として描かれがちなんだけど、芯はしっかりしてるから、自分が弱かろうと突っ込んでいくのがシリアスの新八。

紅桜篇でも、原作は神楽や桂などを助けるために体を張るシーンがある。でも何故か、神楽を助けるシーンをギャグにされてしまった。そのせいで、新八はただの弱い奴という見方をされてしまう。

映画において桂を助けるシーンはあくまで神楽と一緒のシーン。新八個人はそういった形でフォーカスを当てられることはなかった。

桂においては次の③にて。

 

 

③どうしてそのシーンをカットした?追加した?

銀魂 感想」なんかでググったりツイート検索かけてみると、「原作の面白さをとことん潰している」との辛口評価がちらほらと引っかかる。

その一因が、このカットそしてオリジナル要素の追加にあると私は思う。

セリフ1つ1つにおいても、原作で面白かったセリフやシーンをカットすることが目立った。そして代わりにオリジナル要素を追加したり、原作の部分を間延びさせる部分もあった。

実写で思ったのは、「殴るシーンの強調しすぎ」ってこと。多分アニメも強調線が入ってるし、ギャグ要素だしってことで強調したのかもしれないけど、あそこの間が地味に辛かった。なんか滑ってる感が否めなくて、「早く次のシーン!早く何か喋って!」と何ともいえない恥ずかしさに襲われた。

銀魂は何も殴るとかの暴力的シーンが見どころなわけではない。むしろ言葉による畳み掛けの方が見どころというか魅力なのだと個人的には思うのだが、まさか暴力的シーンがピックアップされるとは思っていなかった。

まあそれは大目にみるとして(もはや誰目線)、何より引っかかったのは桂と銀時が共に戦うシーンそれカットしたらダメな奴だろォォ!!と、思わず私の中の新八が突っ込んだ。

紅桜篇において、万事屋や鬼兵隊は言わずもがな重要な登場人物。しかし、絶対に欠かせないのは桂小太郎の存在。かつて松陽先生のもとで学んでいた3人が再び集まるということで、3人にとって非常に大事な話。「いつかお前を倒す」と、銀時と桂が背を合わせて高杉に剣を向けるシーンは、大袈裟かもしれんが紅桜篇の一番の見どころ。それなのに全面カット。それどころか、銀時が高杉と直接マンツーマンで剣のやり合い。これじゃあ桂がいる意味ほとんどなくなるよ???

なんでそうなった?どうして3人の大事なシーンが2人のシーンになってるの?銀時が高杉とやりあうのは、もう少し先のあの展開だからこそ意味があるものなのだと思っていたのに、それすら崩壊された。

間違いねえ、私は解釈違いを起こしている。漫画やアニメ作品のファンの間では戦争の原因ともなると言われている解釈違いが、まさかの公式側の人間と起こってしまっている。

私はなんという人物を敵に回してしまったのか。

 

 

④何故紅桜篇なのに真選組が出てきた?

全ての不満がここに集結すると言っても過言ではない。

何度も言うけど、紅桜篇は銀時と桂と高杉にとって重要な物語。その3人による、その3人だけの物語。松陽先生のもとで学んだ3人だからこそ、松陽先生のためにかつて戦った3人だからこそ分かる思いや立場ってものがある。

それなのに、中途半端に真選組が出てくる。確かに、「紅桜を手にした岡田と真選組が勝負したらどうだったんだろう?」とifの世界が気になる気持ちは分かる。だが、はっきり言おう。

紅桜篇に真選組はいらない。

現に、実写銀魂において、紅桜篇の真選組はいてもいなくてもどっちでもいい存在になっている。むしろ邪魔。何しに来た?

ここで、誤解されたくないから言っておくが、私は銀魂において土方十四郎沖田総悟の2人が大好きな、完全なる真選組の女である。

 

銀時と岡田がやりあって、瀕死状態になった銀時を沖田は助けになんてこなくていい。

高杉が来ているという情報を手にして、真選組は船に乗り込んでこなくていい。

死ぬなよ、万事屋とかなんとか言って、土方は銀時に後を任せなくていい。

 

確かに、万事屋と真選組の間には原作でも言っているが、くされ縁は存在する。友達でも家族でも仲間でもないけど、切っても切れない関係だって言っている。

でも、松下村塾で学んだ3人の関係とはまた違う。真選組とは真選組との、松下村塾とは松下村塾との違う形の絆みたいなもんで結ばれている。

だから、互いに干渉することはタブーに近い。

まして紅桜篇はそんな話ではない。現在連載中の、終盤に向かう展開でならアリかもしれないが、紅桜篇はその場にはふさわしくない。

実際、真選組が船に乗り込んで戦っていたが、なんの役にも立っていなかったろう?誰も助けてないし。つまり、なんとなく付け足されただけ。人気だし付け足しとこ、みたいな感覚。

そんなハッピーセット感覚で付け足されても、物語ができるわけがない。

もし真選組をうまく活躍させたかったのなら、紅桜篇を選ぶのはそもそもの間違いだった。

おかげで沖田は剣士というよりバズーカ使いみたいな描写になっちまったよ!

 

 

⑤何をとっても中途半端

やっぱりこれが最終地点かも。

ギャグに振り切れるわけでも、シリアスに振り切れるわけでもない。

桂も真選組も使おうとした結果、うまくキャラを生かせていない。

カブト狩りと紅桜篇を両方入れたことでそれが顕著になっている。

せっかくの福田監督だったんだし、むしろ全てギャグで良かったと思う。下手に紅桜篇のようにシリアスムードを打ち込まなくても、カブト狩りをもっと深掘りしても良かったんじゃないの?

カブト狩りだけじゃなくても、他のギャグ回を何個か詰めて、本当にギャグに振り切ってしまえば評価はまた変わったんじゃないかなって。

そりゃ、原作そのままコピーは「面白くない」。だから、オリジナル要素を取り入れるのがメディアミックス展開では不可避。

だからこそ、福田監督ワールドをもっと展開して欲しかった。佐藤二朗ムロツヨシのキャスティングはそのためだっただから、もっとその要素を入れても良かったんでは?と。

シリアスにオリジナル要素を入れると、原作の展開無視に繋がる。だから、ギャグにもっと力を入れて欲しかった。そしたら、キャラももっと生かせそうだなと。どのキャラも中途半端に掘り下げられることもなく、ギャグ要素だけにフォーカスを当てられるから、ある意味平和だったろう。

 

 

 

………………と、滅茶苦茶うるせえ評価しましたけど、こんな感じです。

観に行って後悔はしてません。福田監督ワールドは結構好きなので、所々面白かった。

ただ、原作が好きで好きでたまらないような人たちには丸投げでお勧めはできない。

なんでもとりあえずは大丈夫と思える人は観に行って損はないかな、と。 

あまり期待しない方が身のためです。(期待しすぎると序盤で飽きそうになる)